みなさん、エンジョイしてますか?

さて、本日はこちらを図書館で借りてきて読みました。

栃木のトリセツ
昭文社
2021-03-15



各都道府県が順次出版されているようです。
先日茨城県を読んでコンパクトにまとまっていて面白かったので栃木県を借りてみました。

特にPART3 栃木で動いた歴史の瞬間はコンパクトながらも最新の研究も盛り込まれ読みごたえがありました。

「律令期の下野国を概観」
五畿七道や東山道、国衙や国分寺、薬師寺などについて解説しています。下野国では東山道の発掘調査が進んでおり、国富を過ぎてからの大まかなルートが考古学上明らかになってきています。

北台遺跡はまだ行ったことがないので、近日現地調査をしたいと思います。

「下野国に花開いた仏教文化」
奈良時代に道鏡が流されたことで有名な下野薬師寺を皮切りに、下野国の仏教について解説がされています。下野薬師寺については、大宝律令の編者であった下毛野朝臣古麻呂の政治力に言及しています。

その後、国分寺、国分尼寺の建立を経て、日光開山の祖である勝道、円仁の説明があります。

円仁の出自を栃木市岩舟町としているのも良いですね。794年に下野国都賀郡で生まれ、幼くして父を失い、東国有数の岩舟の大慈寺に入ります。15歳になると師の広智とともに比叡山に入り、その後、遣唐使の一員として唐に渡り、帰国後は比叡山延暦寺の座主となります。

[円仁ゆかりの地岩舟]
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864年に比叡山で72年の生涯を閉じますが、2年後勅命で「慈覚大師」の諡号が送られました。
大師といえば伝教大師と弘法大師が有名ですが、きっかけは円仁なんですね。

「藤原秀郷とは何者か?」
通常秀郷といえば、平将門を倒した英雄といったステレオタイプの解説が多い中で、現在の秀郷研究をしっかり踏まえた記述となっています。

まず、名流・藤原北家に属する魚名の子孫に当たると「される」と断定していないところ、次いで、秀郷の
頃には、地元・下野の国司と紛争(実際は罪人)するほどの実力者になっていたことを明記、乱後にムカデ退治などの武勇伝が流行したことをしっかり説明しているところなどは好感が持てます。

その他、藤姓足利氏と源姓足利氏、日光例幣使街道、喜連川氏などマニアックだけど歴史上大切な論点も盛り込んであり、本格的な内容となっています。

那須国造碑や岩舟人車鉄道なども気になりましたので、今後の研究の論点として深堀していきたいと思います。

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